参加者のその後(加藤 彩子さん)

(2001年中国派遣参加)

2001年に中国派遣に参加し、現在は日中バイリンガルMCや中国人向けキャリアアドバイザーとして日中両国で活躍されている加藤彩子さんに参加後の進路やお仕事について伺いました。

学生時代の様子を教えてください!

私と中国とのご縁は「少年の翼」から始まりました。江蘇省の高校生との交流の場で知った中国人の積極性や温かさ、そしてホームステイでのカルチャーショックなどすべてが刺激となり、「もっと中国を知りたい、中国の方と仲良くなりたい」と思ったことがきっかけで、大学の進路を考える際の軸が「中国」となりました。
神戸大学国際文化学部(現 国際人間科学部)に進学し、言語学というジャンルで中国語を研究していました。大学3年生のときに北京の中国人民大学に1年間留学したのですが、その期間に最も集中して中国語を学んだ記憶があります。
留学中は長期休みのたびに中国国内旅行へ行き、中でも中国のハルピンへ「氷祭り」を見にいったことが一番の思い出です。当時は高鉄(いわゆる新幹線)もなく、またお金に余裕もなかったので毎回寝台列車を利用し、ローカル感満載の雰囲気の中、不安で身を小さくしながらもまだ見ぬ場所へ行けるワクワク感でいっぱいだったことをよく覚えています。

現在はどのようなお仕事や生活をされていますか?

大学卒業後は中国に関わりのない仕事に就いたのですが、入社から7年後、主人の転勤で上海へ行くことが転機となり、また中国とのご縁をいただくことになりました。
上海生活ではコロナで日本へ帰国できなくなったことをきっかけに、動画配信を始めました。中国語で日中文化の違いを紹介したり、「日本人から見る中国」という視点で街をレポートするコンテンツを制作し、多くの中国人フォロワーから支持を得られるようになりました。この動画配信を通じて私を知る方が増えたためか、メディアからお声が掛かるようになり、日本のテレビ局向けの海外特派員やドキュメンタリーのMCを務める機会にも恵まれました。
現在もドキュメンタリー番組『私がここに住む理由』のMCは継続しており、日本に住む中国人と中国に住む日本人の「ここに住む理由」に密着するお仕事をしています。
また、もう一つの顔として在日中国人の転職エージェントの仕事もしています。20年間学んできた中国語とMCで培ったインタビュー力をフル活用して、一人ひとりのキャリアと人生に寄り添えるとてもやりがいのある仕事です。

中高生に向けてアドバイスをお願いします!

留学を経て当時の仲間は様々なキャリアを選び、もちろん日本に戻らず中国で就職した方、かつての私のように日本で全く中国と関わらない仕事をしている方もいます。結果的に現在の私は中国と関わりを持ちながら生活していますが、人生を振り返って思うことは「異なる文化に出会い、その土地に溶け込むために奮闘して身につけた包容力やコミュニケーション力は一生の宝物」だということです。いろいろな世界を見て、様々な価値観を知ることで広がる可能性を海外生活で学んだと感じています。
今では同僚もビジネスパートナーもほぼ全員中国人で、彼女たちとランチを食べている時、中国語で冗談を言い合っている時、ふとした瞬間に「高校生の自分に“今こうなってるよ”と伝えたい」といつも思っています。
石川の中でも最も小さい街である山中温泉に生まれた女の子が、いつの間にか日本と中国を行き来するビジネスパーソンになりました。そのきっかけを与えてくれたのが「少年の翼」であると今でも思っています。これからの未来を担う学生の皆さんにとって、このメッセージが一歩を踏み出すためのきっかけになることを願っています。

これから派遣される団員に向けてのアドバイスをいただきました

海外に派遣される際にあったら良いものはありますか?

・気軽に渡せるばら撒き用のお菓子などのプチプレゼントが便利です。現地の学生との交流の場面などで使えます!

派遣される前にやっておいたら良いことはありますか?

① 中国の歴史の勉強
特に江蘇省南京は中華民国時代の首都なので、孫文や蒋介石の時代についてしっかり勉強してから行ったほうが良いです。
② 人気のアニメの中国語タイトルを調べる
中国の方は日本のアニメが好きですが、日本のタイトルと全く違うので、事前に調べておくと共通の話題を見つけやすいです。